Critique Of Games ―ビデオゲームをめぐる問いと思索―

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 ゲームの進行速度は、速ければよいというわけでもないし、遅ければよいというわけでもない。  一般的には、ゲームの開始段階は、ゲームが早く進行していくような感触を抱かせる仕掛けをつくり、中盤からは「じっくりと」味わってもらうような構成にする、といったデザインの仕方が多い。(むろん、レベルデザインの手法次第では、それ以外のバリエーションもありうる)

 ゲームスタート時に、進行速度をはやめる理由としてはゲームの世界自体に入り込んでもらうための導入的な効果を高めるためである。  ゲーム中盤から「じっくり」と味わってもらうための理由としては、ゲーム自体を楽しんでもらうトータルの時間を長くすることでユーザーの満足度を上げることなどが挙げられる。

ゲームの進行速度を遅くする工夫(1)人海戦術編

 ゲームの進行速度を遅くする工夫というのは、かなり工夫が求められる。  単に、プレイをすすめることが難しい「壁」となるような強い中ボス、難しい謎を配置しただけだと、ユーザーが挫けてしまい、途中でゲームを止めてしまうことなども考えられる。  強い中ボスや、難しい謎などの「壁」を配置すること自体は悪いことではないが、「壁」を乗り越えるための代替的な手段にうまく誘導するようなナビゲーションを同時に行うような仕掛けもセットである必要があるだろう。たとえば

  • 強い敵が倒せないから、スキルアップを工夫してみる、だとか。
    • サブクエストをまとめてクリアーしてみる、だとか。
    • 数多くの脇道
    • メインのゲームモードとは異なるサブモードへの誘導(戦闘モードから学校モードへ、戦闘モードから探偵モードへ…など)
      などといった方法が存在する。

 ただし、こうした手法は基本的には大規模開発形のアドベンチャー/RPGならではの解決策である。人海戦術で数多くのイベントを作ったりするような余裕がない状態ではなかなか難しい。

ゲームの進行速度を遅くする工夫(2)「再挑戦度」の設計

 シンプルな作りのシューティング/アクションなどでは、それとはまた別の方法が求められることになる。  その方法は、古典的ではあるが、いわゆるゲームバランスの調整が重要になってくるだろう。中ボスなどのつよさを絶妙な具合に設計しておき「あとちょっとで倒せたのに…」ぐらいの悔しさの残る形で、ボスを配置してやり、リプレイをして少し上達すれば倒せなくもないかも、と思わせるような再挑戦を誘導するぐらいの適度な「壁」感を与えてやる。また、このとき、少年ジャンプ的な「絶体絶命のピンチ…!…次週を待て!」的なヒキを作るような物語展開もセットで与えてやるとより効果的。

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