Critique Of Games ―ビデオゲームをめぐる問いと思索―

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 例えば「あとちょっとでクリアーできたのに」とか「あとちょっとで倒せたのに」という場合は「もう一回やらなければ気が済まんゾ。」という気分になってきたりする。あるいは「あとちょっとで死ぬかと思った」というのも緊張感があってよい。「これは全然話にならない」というぐらい難しかったり、簡単すぎたりすると今ひとつやる気がしぼむ。もっとも「あとちょっと」の度合いというのも上手いプレイヤーと下手なプレイヤーとか向き不向きとかあったりして調整が難しい。万人にとっての最大公約数的な「あとちょっと」ポイントのゲームバランスを作っていくのは実に大変な労働。(あとちょっと、というバランスを作るだけではなくそれをやってやろうというテンションを保たせることも大切)
 この「あとちょっと」というリアリティがゲームのおいて大きな役割を果たす、というのは単にゲームの開発技法として注目すべきだ、という議論のみにはおさまらない。「同じ作業を何度もやりなおさせる」というような一般的には飽き飽きとさせるような行為を、強制的にではなく、自発的に促すという性質をゲームがもっているというようなゲーム・メディアの独自性をここに見ることも可能だろう。