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Critique of games | 「押し付け感」

ビデオゲームをめぐる問いと思索
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目次

「押し付け感」の測定方法の提案

発売年度 タイトル セリフ容量(KB) 推定プレイ時間(単位:hour) KB/hour(「押し付け係数」?)
1993 DQ1(SFC) 15.2 20 0.76
1993 DQ2(SFC) 26.8 30 0.89
1996 DQ3(SFC) 89.3 50 1.79
1987 FF1 19 25 0.76
1988 FF2 28 90 0.31
1991 FF3 76 55 1.38
1997 FF4(PS) 97 45 2.16
1998 FF5(PS) 92 45 2.04
1999 FF6(PS) 204 55 3.71
1997 FF7 421 55 7.65
2001 FF10 322 45 7.16

調査概要

  • 元Road of Square データベースおよび nobumono HPさんに掲載されているセリフチャートを参考に、タイトルごとに総テキストデータ量をKB単位で算出した。(具体的には、セリフチャートを秀丸などのテキストエディタに全部はっつけてみて、テキストファイルの容量がいくらになったかを計っただけ)
  • 推定プレイ時間は、必ずしも公式に発表されているものではないので、表の作成者による経験と勘に拠っている。(なので、あまり信頼できる数値ではありません)
  • 2005年1月に作成した。

簡単なコメント:何がしたかったか

  • このデータは、資料提供というよりも「こうやれば<押し付け感>の定量化ができるかもよ?」という調査枠組みの提示の意味合いが強いですので、あまり本気で参考にしようなどと思わないで下さい。
  • セリフ容量と推定プレイ時間との比率を見ていくことで、「プレイヤーがセリフにつきあわされている時間の比率」≒「押し付けられている感覚」をある程度同定可能なのではなかろうか、と思い、このような表を作成してみました。 「KB/hour」の数値のところを見ていくと、一般に「押し付け感」といわれているものが見えてくるような……気がしますが、このままでは使えません。(でも、実感としては、だいたいこんなもんかもな、って気がしなくもないですが)

この調査のいい加減なところ:きちんとしたデータに仕上げるためには何をすればいいか

  • ネット上のセリフチャートがどこまできちんとセリフを網羅しているのか、「推定プレイ時間」が経験と勘に頼っているのはあまりにもひどい等々、基本的にこのままではあまり使えるデータではありません。きちんとしたデータに仕上げようと思った場合、以下のような作業が必要になるかと思います。けっこう面倒です。
    1. 最低でも「ストーリー上の強制テキスト」と、「見ることを選択可能なテキスト」との二つを分けた形で集計しなおしたほうがよい。(#選択可能なテキストといってもどのような形で「選択可能」なのか、は色々と分かれるが、そこらへんは作品の中身ごとで工夫するしかないかも。)
    2. 個々の作品のクリアーまでにかかる推定プレイ時間も、一つの作品につき最低でも5人以上には聞くとかしてもうちょっと信頼性の高い数値にしておく。
    3. 他にもうひとつ変数が必要で、「あなたはこのゲームに押し付けられた、という感じを抱きましたか」とかのアンケートをとっておいて、作品ごとの「押し付けられ感」をあらかじめ数値化しておく。それが不可能ならば、せめて個々の作品について書かれたゲームレビューを大量にテキストマイニングにでもかけて、「押し付け」(およびその類似語)という言葉の出現頻度を計測し、作品ごとの「押し付けられ感」を別途に用意する。
    4. そして、その「押し付け感のアンケート結果」から出てきた変数と、「(ストーリー上の強制テキストの総量)÷(推定プレイ時間)」の計算で算出した言わば「押し付け係数」とを比較し、二つの変数の間に強い正の相関が見られたらならば「(ストーリー上の強制テキストの総量)÷(推定プレイ時間)」によって算出された係数がRPGにおいて<押し付け感>をあらわす指標であると言い得ることができるかもしれません。逆に、二つの変数の間にまったく相関性が見られなかった場合、<押し付け感>の正体は強制されたテキスト量の所為ではないのだ!みたいなことが言えなくもない。(正確には、「強制されたテキスト量を見ていくだけでは<押し付け感>を測ることはできない」と言ったほうがいいですが。)
  • ただし、このような測定方法によって<押し付け>係数が明らかになるとしても、それはあくまで、『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』のようなRPGの場合に限られるでしょう。サウンドノベルのジャンルなどになると、そのまま応用はできないかと思われます。
  • また、このような<押し付け>係数は、万人が確実に<押し付け感>を感じるかどうかという議論とはちょっと違うものになるでしょう。あくまでそのように感じられる確率とか程度とか、そういった意味のものでしかないか、と。