概要 †
日本大学文理学部体育学科教授の森昭雄による造語。 ゲームを多く遊ぶ人間の、ゲームプレイ時の脳波が一般的な状態と異なることを発見し、これを「ゲーム脳」と名付け、ゲームを遊ぶことの危険性を訴えた。
批判 †
ネットを検索すると、ほとんど批判しか出てこないといってもいい。 批判を要約すると「本当に普段と違うのか?」「違ったとして、それは本当に危険なのか?」という二点に集約される。
1.脳が本当に一般的な状態と異なると言えるのか。 †
- 調査として、「異常」を発見するための手続きがおかしいのではないか(統計手法の記述などが信頼に足る水準のものではない)
- 「脳波」は脳の状態を変化を測定するための手段としては、そこまで確実な意味を持つものではないのに、脳波の変化を重視しすぎているのではないか。
- スポーツをしているときも、似たような脳波が見られるときがあるのだが、これに対する言及がない。
2.異なったとしてそれが本当に危険なことなのか †
- 提唱者の森がゲームやサブカルチャーについて基本的な認識を欠き、ネガティブな意識を一方的に持ちすぎている。そして、森の言う「危険性」の立論は、論証を含まない推論ばかりである。
現在では、森氏の様々な失言*1により、「ゲーム脳」概念は、一般に広がってしまったトンデモのガセ知識という評価がネット上では基本的である。ただ、仮にも名の知れた大学の教授による議論なので、PTAなどが主催する形での講演会などが定期的に組まれている。
- → Critique of Games書評:森昭雄『ゲーム脳の恐怖』生活人新書(NHK出版)
「デジタル・ネイティブ」 †
「危険性」を唱える森のようなネガティブよりの立場が存在する一方で、マーク・プレンスキー(Marc Prensky)などによって、デジタル機器を当然のようにして使いこなす世代の子供たちのもつ特有の思考力についてポジティブな立場からの研究をする立場もある。
参考 †
- James.Paul.Gee & Marc.Prensky "Don't Bother Me Mom-I'm Learning!: How Computer And Video Games Are Preparing Your Kids for Twenty-First Century Success - And How You Can Help!" (2006/)
- 森昭雄『ゲーム脳の恐怖』 2002
最終更新: 2007-02-18 (日) 19:29:31