Critique Of Games ―ビデオゲームをめぐる問いと思索―

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 動機付けの理論は、

  • (1)経営心理学で言えば、経済的動機よりも親和動機(関係性の利益)を強調するホーソン実験や、マズローの階層性理論などが古典的なものとして挙げられる。
  • (2)基礎心理学では、伝統的に動機付けを「外発的動機付け(extrinsic motivation)」と、「内発的動機付け(intrinsic motivation)」に分類する。
    • 外発的動機付けは、ソーンダイクによるネコの問題箱、スキナーによるスキナー箱の実験など、行動主義の流れの中で強調された。(弁別学習の議論など)
    • 一方、内発的動機付けに関する研究は、1960年代から増加する。デシによるアンダーマイニング効果(内発的動機付けに外発的動機を与えると、逆に減退しがちっていう効果)の議論や、ドウェックによる再帰属訓練の実験などがある。
    • 内発的動機付けの議論をささえる、ベースとして「随伴性の認知」「学習的無力感」「結果期待/効力期待」といった概念がある。以下は、ワイナーによる「帰属」の分類

表:学習の正否の帰属の2次元的分類(出典:市川伸一[2001])

   安定性
  \ 
原因の所在
安定不安定
内的能力努力
外的課題の困難度

 特にゲームと動機付けに関する議論としては、チクセントミハイや、ラフ・コスターの議論などがある。  関連項目として、errand boy syndromeを見よ。

その他雑感メモ

  • 内発/外発の区分をゲームにあてはめると、コンピュータ・ゲームのプレイヤーはたいがいの場合は内発的で、「会社における成果主義の評価システム」とかが、まあおおよそ外発的ですよね、みたいな感じの理解になる。…と、筆者はおもっておりました。あと、受験勉強で、「今度のテストでいい点とったら、おこずかい100円あげてやろう」とか外発。
  • なんだけど、デシの有名な本『人を伸ばす力―内発と自律のすすめ』とか読むと、なんか「内発=ゲーム」っていうのが、ちょっと微妙で。デシって、なんか、この人ちょっと、私なんかと比べると、ちょっと相対的に保守主義者なの??とか思うような、微妙な力強さのある発言が連発されてるんですよね。たとえば、ダイエットとかの動機づけでも、「旦那に言われたからダイエット」は外発で、デシの言うところの内発は「ダイエットを頑張るための強い意志。自己を律する覚悟」みたいな話になってて、えっ、そういう話なの???とかちょっと思った。
  • 私の適当な理解だと、脳の生理系の話で整理するならば、外発的動機付けに対して対応するのは、たぶん前頭前野あたりでの思考力で対応してるってことでしょーと。一方、内発的動機づけ、に対して対応するのは、たぶん報酬系(ドーパミンとか出す奴)とかで行われる強化学習プロセスのことでしょー、と思っておりました。
  • でも、なんか「自己を律しようとする覚悟」みたいなことを言い出すと、それって、前頭前野の話なんじゃないの?とか思ってしまって、どうなんでしょー、それ。とちょっと思った。自律の話は、内発的動機付けと一緒にしちゃっていいのか??デシは、そこ分けた上で言ってるのか、分けてないのか、今ひとつわからん。自律と、内発がセットで捉えるべきものである/でしかない、という議論が、心理系の人のなかで標準的なスタンスであるとすれば、私は今後、口が裂けても「内発的動機」とか口にできなくなっちゃうわー、とか思ったよ。
  • たぶん、デシの議論だけが全てではない…と思うので、今後も当分使うけど。ぶっちゃけ、どうなの? >教えて!心理学の動機づけ理論の専攻の人!
  • まあ、でも「自律」の問題と、「外発的なご褒美」は、両方共前頭前野にかかわるんだろうけれども、またちょっと違うんだろうな。
  • ちなみに、アンダーマイニング効果については、日本人の研究者(松元健二さん、村山航さん)がけっこうがんばっているらしく、前頭葉と大脳基底核の連動メカニズムがなんかあるっぽいぜ、というようなことを発表なすったらしい http://www.tamagawa.ac.jp/brain/news/101206_01.html

参考


関連記事: errand boy syndrome レビューシステム
最終更新: 2012-01-28 (土) 13:46:42