Critique Of Games ―ビデオゲームをめぐる問いと思索―

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 「撃つ」という行為をアクションの中のベースとしているかゲームに対して与えられるジャンル名の総称。

定義および、ジャンルの境界例

 「撃つ」というアクションがジャンル分類の基準となっているため、直接に操作する武器として銃が出てくれば、STG要素は存在しており、それだけでSTGと言いうることもできる。
 だが、実際には「撃つ」というアクションが、どの程度までそのゲームの「ウリ」の要素となっているかどうかによって、STGとして分類されるかどうかが変わってくる。例えば、『バイオハザード』『メタルギアソリッド』『デビルメイクライ』『エアロダンシング』といったゲームタイトルはいずれも使われる武器は主に銃である。しかし、それぞれのジャンル分類は次の通りとなっている。

『バイオハザード』:ホラーアクションアドベンチャーゲーム
『メタルギアソリッド』:ステルスゲーム、タクティカル・エスピオナージ・アクション
『デビルメイクライ』:スタイリッシュ ハードアクション
『エアロダンシング』:フライトシミュレーションゲーム

 もちろん、武器が「銃」あるいは「弾丸」「レーザー」を用いていれば、全てがSTGになるわけではない。どちらかといえば、重要なのは「銃」や「弾丸」という設定が用いられることよりも、攻撃するポイントをリアルタイムに照準させる行為のほうに、重きが置かれていると考えた方がよい。
 たとえば、『タイピング・オブ・ザ・デッド』はゲーム内では銃を用いて敵を倒していくという設定になってはいるが、プレイヤーが操作する内容は銃を照準させることではなく、与えられたお題に沿って正しくキーボードをタイピングしていくことである。これは、タイピングソフトであって、STGとは認識されない。

 ただし、弾幕系STGなどのサブジャンルでは、30年以上の歴史がある、2DSTGとほぼ同じゲームシステムを用いながらも、実際には、照準することよりも避けることのほうがより重要になっている。つまり、そもそも、銃を照準させる行為のほうが重要だったものが、別の要素のほうがよりマニアックな発展を遂げ、一つのジャンルを築いてしまう、という意図せざる結果も、STG史の中には内包されている。
 そのため、このジャンル名に対して、確定記述的に、非常に厳密な定義を与えようと思うと、やはり困難である。

サブジャンル

 非常に数多くのサブジャンルがある。2D/3Dという大分類を元に、ツリー状の分類がなされる場合が多いが、実際には 1.画面構成、2.画面移動方法、3.プレイヤーキャラクターによる分類 4.インターフェイスによる分類 5.その他の要素による分類といった各要素によって、分類が左右されていると考えたほうがより適切だろう。
 具体的には、下記のようなものが挙げられる

1.画面構成による分類

  • 2Dでは
    • 画面固定シューティング:『スペース・インベーダー』など
    • 2D縦シューティング(『ゼビウス』『ツインビー』など)
    • 2D横シューティング(『グラディウス』など)
    • クォータービューシューティング
    • 多方向スクロールシューティング(『バンゲリングベイ』など)
    • トンネル・シューティング
  • 3D
    • 一人称視点シューティング(FPS)
    • 三人称視点シューティング(TPS)

2.移動方法による分類

  • 2D
    • 2D縦スクロールシューティング
    • 2D横スクロールシューティング
  • 3D
    • 奥スクロール・シューティング(『スペース・ハリアー』『パンツァードラグーン』など)

3.プレイヤーキャラクターによる分類

3Dシューティングの場合、しばしば、プレイヤーキャラクターによって操作感が大幅に異なるため、ジャンルを呼び分ける場合も多い。

4.インターフェイスによる分類

  • ガンシューティング
    • ボタン型+方向選択型のコントローラーではなく、簡易センサーなどを用いて画面上に照準するインターフェイスになっているものを、このように呼ぶ。
    • FPSと異なっている点として、進行するルートがほぼ直線となっており、ゲームの戦略性などはどちらかというと少なく、反射神経を問うようなジャンルのものが多い。

5.その他、中心となる要素になる分類

  • 弾幕系シューティング:撃つ行為よりも、避ける行為がより重要となる。

小史

初期

 ノイマン型コンピュータ上ではじめて動作したとされるコンピュータ・ゲーム『Space War!』(1962)はシューティング・ゲームであり、ATARI社の創業者であるノラン・ブッシュネルがはじめて商用化したゲームも、これをアーケード化した『Computer Space』(1971)*1である。
 また、1978年に日本にコンピュータ・ゲームの大ブームを引き起こした『スペース・インベーダ』も、1983年*2の『ゼビウス』のいずれも2Dシューティングである。コンピュータ・ゲーム黎明期は、『PONG』や『Break Out』のような「ボールゲーム」*3と、STGの担っていた役割が非常に大きい。
 STGがジャンルとして、明確に区分けされて記述されはじめるのは、国内では、おそらく現在の基準に連なるゲームジャンル分類のひな形ができあがる1983年後半のことかと思われる。

2000年代の展開

 近年では、STGとは一口に言っても、2DSTGの世界と、FPSの世界の発展が著しい。
 2DSTGの世界は、90年代からゲームプレイヤー数が大きく減少しておりマニアックな市場となっているが、マニアックな市場なりに、固定ユーザー層を抱えており、このユーザー層は「シューター」と呼ばれ、その他の、一般的なゲーマーとは別の種類のゲーマー層と括られることが多い。
 一方、FPSは、90年代中盤から、欧米圏で大きな発展を遂げたジャンルであり、欧米における最もメジャーなゲーム・ジャンルの一つと言ってもよい。国内では、このゲーム・ジャンルを遊んでいたのは、当初は「洋ゲー」の好きな洋ゲーマー、特にPC系のゲーマーに限られていたが、近年、PS3や、Xbox 360でおもしろいゲームを探すと、どうしてもFPSの傑作(『Call of Duty4』など)が多くなり、国内でも、FPSゲーマーは増加傾向にある。

参考

  • STG研究サイト
    • http://spitfire.client.jp/
      • replicorn氏によるサイト「spitfire」がSTGに関わる概念、および歴史については非常に詳しい。とくに、2Dシューティング


*1 商用化に「成功」=売れたゲームは『PONG』(1972)が最初である。なお、『Computer Space』発売時は、ATARI社は未設立
*2 1982年末にロケテストが行われており、ゲーム画面タイトルではcopyright 1982の表記となっている
*3 1970年代後半当時、このように呼ばれていた
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最終更新: 2009-01-21 (水) 15:12:04 (3169d)