フランスの思想家ボードリヤールが彼の思想を語るキーワードとして用いて有名になった言葉。基本的な意味としてはオリジナルに対する「まがいもの」という意味。 だが、「まがいもの」だからダメだ、というのではなく、《模造品No3》は《模造品No3》としては世界に一個しかないオリジナルである、という考え方もできるし、ものごとには「本物(オリジナル)」も「まがいもの(コピー)」も実はきちんとした区別などつけられない。言い方を変えればある意味、現実に存在するものはすべて「まがいもの」である(=ハイパーリアルの世界)というような考え方というのもできるわけだから、「まがいもの」は「本物」に劣るものである、といったような形で貶めて考えるような必要というのはあんまりない。 だから例えば、ゲームの世界が現実の模造品である、というような言い方もできるけれども「ゲームを体験しているその人の時間」というのは、現実に体験されている時間なのであって、虚構の時間なのではない。
最終更新: 2007-02-17 (土) 20:45:59